この記事はnoteにて2017年に作成し、2021年に加筆修正しました。
Twitterでファンタ2について少し考える機会があり、お試しにマガジンを作ってみます。
ファンタ2とエンジェル・プロファイルに関しては、ジェネックス・サイバーフロントさんが会社を清算される時に、弁護士さんの手続きのもと、私の作った素材(シナリオ・原画)については使用の権利を頂いております。
ゲーム本体・及び関連商品はもう新品では買えないと思いますが、もし手に入れる機会がありましたら、よろしくお願いします。
公式サイトももう存在していないので、キャラクターがわからないと思うのですが、Wikipediaとかpixiv百科事典とか軽く読んでいただけると良いかもしれません。
少数ながらもご要望も頂くので、キャラ紹介くらいはそのうち自前でなんとかできるようにしたいですが……。
せっかく使用権を頂いたものの、ファンタ2はテキストデータだけで2M超えの分量がありまして、データを整理するだけでも膨大な作業が発生するので、いまのところ「読み物として耐える」ところだけをピックアップして公開する以外に、よい運用の仕方を思いつけていません。
それでもやらないよりはマシなのだろうと思い、葵のドラマCDの脚本を整形してみました。
どう素材を整理し、アーカイブ化していくかはまだ迷っているので、とりあえず無料公開といたします。
いま新作で異世界転生ものを考えているのですが、すでに二度ファンタシリーズで書いてるねと思い、新しい読者さんにも「お、こいつの書く異世界ファンタジーものってこんな感じか」と目星をつけてもらえたらいいなという企みもあります。(笑)
お楽しみいただけたら幸いです。
公開によせて
本編のアーカイブ化は気の遠くなるデータ整理作業が必要なので、今のところ未定なのですが、トリプルスター(Windows版)に書き下ろした外伝だったらなんとかなるかな……と思い、公開してみます。
原作を担当しているとはいっても、しょせんは雇われ。外注ですから、私はゲームシステムには関与できません。
でもやっぱり、せっかく書いたものがシステムに阻まれて読まれないまま終わるというのは、書き手としてつらいことでした。
しかし、ジェネックス・サイバーフロントさんはそんな作家のセンチメンタリズムをよく汲んでくださり、精算の際は素材の使用権を個人である私に譲ってくださいました。なかなかないことです。
当時、ご尽力いただいた担当者様、弁護士の先生。本当にありがとうございます。
こうして「読まれなかった物語」が日の目を見ることが、作品にとってはなによりの供養であり、作家のこれからを励ます力になります。「猫ト指輪ト蒼色絵本」は、完結まで毎週月曜日に更新いたします。
子育て中でプライベートの変動が激しく、たまにズレることがあるかもしれませんが、定期的に更新していけるようがんばりますので、よろしくお願いします。
アーカイブ化・紙本の発行
本アーカイブは同人誌として紙でも発行します。2022年春予定です。(2022/05/02追記 準備ができ次第となりました)
私が執筆したゲームシナリオをそのまま掲載しているため、ゲームでの実装とは異なる場合があります。
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猫ト指輪ト蒼色絵本
はじめに・公開によせて
Twitterでファンタ2について少し考える機会があり、お試しにマガジンを作ってみます。ファンタ2とエンジェル・プロファイルに関しては、ジェネックス・サイバーフロントさんが会社を清算される時に、弁護士さんの手続きのもと、私の作った素材(シナリオ・... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
猫ト指輪ト蒼色絵本[目次]
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猫ト指輪ト蒼色絵本
送り火
○暗転。 闇の中、一枚の札を燃やす。 ○炎が灯る炎。暗転に灯り。 それは言葉を届けるためだ。海に沈んだ心を慰め、癒やす。ざあん、とひときわ大きな音が響く。それは私の足下も揺らした。古ぼけた小舟には私ひとり。あたりに漂う数千の澱みが、今にも赤い... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
雪月花
○暗転。 雪、月、花。四季折々の美しいもの。戦い疲れ、くたくたになった私の心を、それらはどれだけ癒やしてくれたことだろう。——目覚めの端、いつも枕辺にはそれがいた。 ○一枚絵 寝ている子ども(葵)。枕元に花。侍女バージョン。 【葵】「けほけほっ…... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
ばなな
○暗転。 アロランディアに来て、もうずいぶん経った。——実際は一月程度だから、ずいぶんという言葉は似つかわしくないのかもしれないが。けれど、あえて私はこの言葉を使いたい。——私はここに来てずいぶん経った。だからもうたいていの事には驚かないし、... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
恋愛小説家
○補足 リュート十四歳です。○暗転。 その頃、僕は十四歳になったばかり。肌寒い春を抜け、初夏に差し掛かろうとする季節。緑青々とした小道の奥の、小さな赤い屋根を目指して僕はいつも走った。アークに見つからないように抜け出して、アークにばれないよ... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
ハッピータイム
○広場。 お日様がちょっとてっぺんから傾いた時間。広場の中央、噴水近くで僕は水のせせらぎに心を浸し、待っていた。(……あー、憂鬱)ため息ひとつがとても重たい。サラサラとした水の流れが、どうにかそれも流してくれたらいいのに。これから起こるであ... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
Three years after.
○暗転。 君を力一杯抱きしめた。三年は長かったね、と思う。だって背がとても伸びてる。僕も伸びてたから、本当によかった。並んで低いと格好がつかないでしょう、恋人同士としては。右手の星は相変わらず。特別な意味はもうないから、別に付いていても構... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
指輪
○暗転。 手がかりは、私が初めて作った『金』。天然のものとはやはり違う、銀に近い、その薄すぎる色合い。成分は確かに本物と変わらないのだけど、偽物はやっぱり偽物だということか。それでも初めて練金に成功したのは、奇跡としか言いようがなく、私は... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
火打ち石
○暗転。 夏の残り香がまだ色濃い季節、私は新しい三人の生徒を受け持った。この国を治める神殿の、最高指導者であるプルート様の命によって。初めて会った時の彼女らの反応は様々で、驚き慌てふためく人、沈着冷静に受け止める人、大げさな程に礼儀正しい... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
24h
○暗転。 新しい朝が来た。希望の朝がー……。 ○ぢりぢりぢりりりと目覚まし時計。○一枚絵 寝起きのヨハン。 【ヨハン】「……あさ、しちじ。……あと、ごふん」 ○ドアが開く音。みんな三年後の立ち絵です。 【ユニシス】「おっはよーございまーす! 先生! 今... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
導く者
○暗転。 クルクル、クルクル。回る運命。それをただ、見つめたあの頃。 【ヨハン】「そんなに欲しいなら、買ってあげましょうか?」【ユニシス】「え?」 ○港。セピア。 初めてアロランディアに下りた時、バザーで目についたそれ。別にねだったつもりはな...
